■腎不全ってどんな病気?
腎臓は、尿を作って老廃物を体の外に排泄する働きや、体に必要な水分・栄養分を吸収する働き、血圧を調整したり赤血球育成にかかわる大切な役割をする臓器です。腎不全になってしまうと尿毒素性物質がたまりさまざまな症状を引き起してしまいます。
■尿毒素性物質がたまり引き起こす症状
尿素
出血傾向や消化器症状を引き起こします。
グアジニン化合物
神経末端を興奮させ震えなどの症状を起こします。
ポリアミン
骨髄造血の阻害や溶血促進作用があります。
芳香族化合物
尿中の物質で腎不全になると蓄積します。赤血球造血抑制、中枢神経、血小板抑制を引き起こします。
中分子量物質
リンパ球や神経などに対する毒性が想定されています。微量で毒性を発揮します。
など、体に悪影響を与えるものが腎不全になると蓄積していきます。
■病期について
国際獣医腎臓研究グループによる犬猫の慢性腎不全の病期
| 病期 | 血清cre | 臨床症状 |
ステージ1 |
腎疾患初期 |
1.4~2.0(犬)、<1.5(猫) |
臨床症状なし、非高窒素血症、低比重尿、蛋白尿 |
ステージ2 |
腎機能不全期 |
1.4~2.0(犬)、 1.6~2.8(猫) |
多飲多尿、軽度高窒素血症BUN↑↑) |
ステージ3 |
腎不全期 |
2.1~5.0(犬)、 2.8~5.0(猫) |
さまざまな臨床症状、軽度~中程度の高窒素血症 |
ステージ4 |
尿毒症~末期腎不全 |
5.0<(犬)、5.0<(猫) |
積極的治療でなければ生命維持が難しい |
■治療について
A)点滴療法失われた水分や電解質を補い、脱水症状を緩和し、尿毒素を希釈する効果があります。静脈内点滴(入院)もしくは皮下点滴(当日もしくは自宅療法可能)が」あります。
B)食餌療法低蛋白、低リンに調整した処方食
C)薬物療法尿毒素吸着剤の投与(活性炭の内服)、利尿剤の投与など
D)腹膜透析末期腎不全の治療方法の一つです。半透膜である腹膜を利用して血液をきれいにします。腹腔に植え込んだカテーテルもしくは注射針を通して透析液を腹腔内に注入し、約3~6時間貯めておき、その後排液します。この操作を1日に1-2回繰り返して行います。